イナガキさん〜パラリンピックを見ると思い出す〜
小さい頃、製紙工場の敷地の中に家があったので、
工場で働いている人たちによく遊んでもらった記憶があります。
「イナガキさん」にもよくキャッチボールをしてもらいました。
イナガキさんには、左腕がなかったので、
右手でボールを捕って
右手でボールを投げていました。
小さい頃のぼくには、それが不思議でした。
「イナガキさん、なんで右手しかないの?」
と聞いてみました。
すると、イナガキさんは
「左手はね、機械にはさまれちゃったんだよ。
ときどきね、左手がかゆくなるときがあるんだけど、
かゆくてもかけなくてね。ハハハ・・・」
と笑って言いました。
小さいながらにも感じたことは・・・
「手がなくてもかゆくなるんだなあ~。
でも笑っててすごいなあ~
ぼくだったらないちゃうよなあ~」
なんか、いろんな感情がいっぺんにあがってきて…
そのあと、質問しない方がよかったのかなあと思いました。
でも、イナガキさんがいてくれて、
小さい時に遊んでくれたことで
ハンディキャップを持っている人を
特別視することがなくなったように思います。
教師になってから、
何回かハンディキャップを持っている子どもたちを担任しましたが、
そのときは必ず、イナガキさんが頭に浮かんできて。
ハンディキャップをもっているけど、
もってないというか、
すべての人は何らかのハンディキャップを持っているというか…
そういう見方ができるようになっていました。
イナガキさんにはとても感謝しています。
イナガキさんは、若くして亡くなってしまいましたが、
自分の心の中にはずっといます。
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