「アメリカ政府がUFO映像を公開した」
そんなニュースを見ると、
「政府が宇宙人の存在を認めたのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、実際に米国政府のUAP調査機関AAROが公開している資料を見てみると、話はもう少し複雑です。
公開された映像の中には、
- 正体がまだ分からないもの
- 現在も分析中のもの
- 鳥と判断されたもの
- 気球と判断されたもの
- センサーや観測条件の影響が考えられるもの
が混在しています。
つまり、
「UAPとして報告された」ことと、「未知の飛行物体であることが確定した」ことは同じではありません。
今回は、AAROが実際に公開しているUAP映像の事例を見ながら、「未確認」という言葉が何を意味しているのか考えてみます。

AAROとは何をしている組織なのか
AAROは、
All-domain Anomaly Resolution Office
の略です。
米国政府に報告されたUAPについて、情報を集め、分析し、可能であれば正体を特定することを目的としています。
対象は空中だけではありません。
航空、海上、宇宙、さらには複数の領域をまたぐ現象なども調査対象になります。
AARO自身は、UAPの調査について「厳格な科学的枠組み」と「データに基づくアプローチ」を掲げています。
そして現在、映像や報告書の一部を公式サイトで公開しています。
公開されたUAP映像は全部「謎」なのか
答えは、いいえです。
AAROが公開している映像には、
Resolved
つまり「解決済み」とされたものもあります。
たとえば、2023年にヨーロッパ地域で撮影された「PR-016」という映像。
この映像には複数の物体が赤外線センサーで捉えられていました。
当初はUAPとして報告されましたが、AAROはその後、
95%を超える確率で鳥である
と評価しています。
その理由として、
- 他の鳥の映像と形態がよく一致している
- 複数の対象が相対的な位置関係を保って飛んでいる
- 赤外線の変化が羽ばたきの周期と一致する
といった特徴を挙げています。
つまり、
最初は正体不明だったものが、分析によって既知の現象へ分類された
ということです。
気球と判断されたUAPもある
同じように、ヨーロッパで2022年に撮影された複数のUAP映像について、AAROは「気球」と判断しています。
たとえばPR-010では、映像に写った対象について、
- 既知の気球映像と形がよく似ている
- 風速や風向と一致するように漂っている
などの特徴から、
95%以上の確率で気球
と評価しました。
これはUAPという言葉を理解するうえで非常に重要です。
最初に「UAP」と分類されたからといって、
それが未知のテクノロジーだと決まったわけではありません。
UAPとはまず、
その時点では正体を特定できていない現象
なのです。
それでも未解明のまま残るケースがある
一方で、すべての映像が説明されるわけではありません。
AAROの公開資料には、
Unresolved UAP Report
つまり未解決のUAP報告も存在します。
たとえば、2022年にアフリカ地域で撮影されたPR-001。
映像には赤外線センサーで何らかの対象が記録されています。
しかしAAROは、
判断を下すには映像やデータが不十分
として、このケースを未解決のまま残しています。
ここで大切なのは、
「解明できなかった」
ということと、
「地球外生命だった」
ということを混同しないことです。
分からない理由が、
単純にデータ不足である可能性もあります。
「未解決」でも異常な性能が確認されたとは限らない
さらに興味深い例があります。
ヨーロッパで2022年に撮影されたPR-015です。
AAROはこの映像について、
物理的な物体が写っている可能性が高い
と評価しています。
しかし同時に、
物体の形や動き、性能には特別に異常な点が確認できない
ともしています。
それでも正体を確定するための情報が足りないため、
Unresolved
として残されています。
つまり、
「未解決のUAP」
という言葉だけを見て、
「人類の技術では説明できない飛行物体」
と解釈してはいけないということです。
2026年にも新しいUAP映像が公開されている
AAROの公開は過去の話ではありません。
2026年にも、新たなUAP映像が次々と公開されています。
たとえば2026年8月7日には、米中央軍から報告された映像が公開されました。
2025年に米軍のプラットフォームに搭載された赤外線センサーで撮影されたもので、映像内ではコントラストのある対象が画面を横切っています。
同じ日には、米国西部でFBIの特別捜査官が撮影した赤外線映像も公開されています。
また2026年7月には、六芒星のように見える形状をした対象を追跡した映像なども公開されました。
ただしAAROは、これらの映像についても、
映像の説明そのものを、分析結果や正体の確定と受け取らないように
注意書きを付けています。
赤外線映像は「見たまま」ではない
UAP映像を考えるうえで、もう一つ重要なのがセンサーです。
軍事映像では、肉眼で見た映像ではなく、赤外線センサーが使われることがあります。
赤外線映像では、
対象そのものの形だけでなく、
- 温度差
- センサーの感度
- 自動補正
- ズーム
- コントラスト処理
などによって、見え方が変化します。
AAROは2026年に公開したある映像について、対象の温度が背景に近い場合、自動ゲイン調整によって対象がちらついたり、背景に溶け込んだように見えることがあると説明しています。
映像だけを見ると、
「突然消えた」
「形が変わった」
ように感じる現象でも、センサー側の処理が影響している場合があります。

AAROの解決済みケースを見ると何が多いのか
AAROは、解決済みケースの分類も公開しています。
2026年8月15日時点の集計では、解決済みのケースで最も多いのは、
気球
です。
次に多いのが、
人工衛星
です。
そのほか、
- ドローン
- 鳥
- 航空機
- ロケット
- センサー由来の現象
- 自然現象
なども含まれています。
つまり、多くのUAP報告は、
既知の物体や現象に帰着している
ことが分かります。
それでもなお、一部には十分なデータがなく、未解決として残るケースがあります。

「未確認」をそのまま残すことの意味
私たちは、分からないものを見ると、すぐに名前を付けたくなります。
「宇宙船だ」
「気球だ」
「鳥だ」
「錯覚だ」
しかし、科学的な調査で重要なのは、
証拠が十分でなければ、判断を保留すること
です。
これは少し地味に見えるかもしれません。
しかし実は、
「分からないものを、分からないまま残す」
という態度こそ、未知の領域を研究するときには重要です。
SIRIUS UNIVERSITYが注目するのは「残ったもの」
AAROの資料を見ると、多くのUAPは既知の現象として説明されています。
その事実は、きちんと受け止める必要があります。
しかし一方で、
十分なデータがなく判断できないもの。
物体は確認できるが正体を確定できないもの。
観測者の証言とセンサーデータが一致しないもの。
そうしたケースも残っています。
SIRIUS UNIVERSITYが注目したいのは、
何でも宇宙人にすることではなく、「最後まで説明できなかった部分は何なのか」を記録していくことです。
説明できるものを除いていったあとに、
何が残るのか。
そこから研究は始まります。
まとめ|「政府公開UAP映像=宇宙人」ではない
米国政府は実際に多数のUAP映像を公開しています。
しかし、その中には、
- 鳥と判断されたもの
- 気球と判断されたもの
- 既知の現象として説明できるもの
- データ不足で判断できないもの
- 現在も分析中のもの
が混在しています。
したがって、
政府がUAP映像を公開した=宇宙人の存在を認めた
という理解は正確ではありません。
一方で、
すべてが完全に説明された
というわけでもありません。
その中間に、
「まだ分からない」
という領域があります。
SIRIUS UNIVERSITYでは、この「分からない」を丁寧に追っていきます。
次回は、
「AAROとは何をしている組織なのか?米国政府のUAP調査機関を詳しく見る」
をテーマに、UAPがどのような手順で報告・分析されているのかを調べます。
SIRIUS UNIVERSITY|研究記録 No.002
研究テーマ:UFO / UAP
カテゴリー:未確認現象研究









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