雑誌対談で話したこと
先日、雑誌の対談で、女優の滝沢沙織さんとお話しする機会がありました。
仕事の関係で、私がどんなことをしているのか、カウンセリングやコーチングについてお話ししました。日本では、カウンセリングやコーチングという言葉に、ある一定のイメージがあるように思います。何か大きな悩みを抱えた人が受けるもの。限界まで頑張った人が、最後に頼るもの。そんなふうに受け取られることもあるかもしれません。
けれど、私が伝えたいのは、それだけではありません。
心のサポートを受けることは、何か特別な人だけに必要なものではなく、自分の人生を見つめるための一つの方法でもある。そんな新しい価値観を伝えたいと思い、対談の中でもお話ししました。
悩んでいるときは、視野が狭くなる
人は悩みの中にいるとき、その悩みから距離を取ることが難しくなります。
私の中では、悩んでいる状態は、雲の下にいるようなイメージがあります。雲に覆われていると、空がどこにあるのか、どちらへ行けばいいのかが見えにくい。目の前のことだけで精いっぱいになり、他の可能性や、自分が本当に望んでいることに目を向けられなくなります。
その状態で、「自分の人生は自分でつくるものです」と言われても、すぐには受け止められないかもしれません。まずは、目の前の課題をどうするか。今日をどう過ごすか。そこから考える必要があります。
だからこそ、悩んでいる最中には、誰かに話を聞いてもらうことが大切になる場合があります。話したからといって、すぐに悩みが消えるわけではありません。けれど、自分の中にあるものを言葉にすることで、少しだけ悩みを外側から見られるようになることがあります。
雲の下から、少しだけ上に出る。すると、悩みそのものはまだ残っていても、見え方が変わることがある。悩みを解決したというより、悩みとの距離が変わるのです。
人生のハンドルを握っているのは自分
私が大切だと思っているのは、自分の人生を、自分がつくっているという感覚です。
もちろん、人生には自分だけでは変えられないこともあります。周囲の人や環境の影響を受けることもあります。それでも、自分がどう受け止め、どんな選択をし、どちらへ進むのか。その部分には、自分で向き合っていく余地があります。
人生を、ゲームのように捉えてみるのも一つの方法です。
ゲームでは、すべてが順調に進むわけではありません。思いどおりにいかない場面や、何度もやり直す場面があります。それでも、そこに課題があるからこそ、先へ進む面白さが生まれます。
現実の出来事を、無理に「面白い」と思う必要はありません。ただ、起きたことをすべて自分への攻撃として受け止めるのではなく、「ここからどう進もうか」と考えることはできるかもしれない。自分が人生のハンドルを握っている、という意識は、そういうところから始まるのだと思います。
話すことは、弱さではない
誰かに相談することを、弱いことや恥ずかしいことだと考える人もいるかもしれません。強くあらなければならない。一人で決めなければならない。そう思っていると、困っていても、悲しくても、なかなか人に話せなくなります。
でも、人には強い部分だけでなく、弱い部分もあります。困っているときに話を聞いてもらうことは、弱さをさらすことではなく、自分の状態を知るための行動でもあります。
私自身も、以前は「こんなことを話していいのだろうか」と思うことがありました。けれど、話していいのだと思えるようになってから、少しずつ楽になりました。限られた場面だけではなく、普段の会話の中でも、自分の弱さのようなものを話せるようになった。そのことが、自分にとって大きかったのだと思います。
大きな悩みでなくてもいいのです。最近どうなのか。今、何が気になっているのか。これからどうしたいのか。そうした小さなことを話していく中にも、自分では気づいていなかった思いが見えてくることがあります。
隣にいる人がいると、見えるものが変わる
対談の中では、ゴルフのキャディーさんの話もしました。
実際にボールを打つのは自分です。どの方向へ打つのかを決めるのも、自分です。でも、隣にいる人が風の向きや、その場所の特徴を教えてくれると、自分だけでは見えていなかったことに気づけます。
人生も、それに近いところがあるのではないでしょうか。
決めるのは自分。歩くのも自分。けれど、隣で言葉を返してくれる人がいると、自分の考えを整理しやすくなります。「自分はこんなふうに思っていたんだ」と気づいたり、「自分は悪い面ばかりを見ていたのかもしれない」と見直したりすることもできます。
自分一人で考えることには、限界があります。考え続けているうちに、同じ場所をぐるぐる回ってしまうこともあります。そんなとき、誰かと話すことで、次の一歩を自分で考えられるようになることがあります。
肩の力を抜いて、自分の内側を見る
心と体の両方が大切だと言われます。私も、心技体という言葉があるように、心だけ、体だけを切り離して考えるものではないと思っています。
ただ、心の部分を後回しにしてしまう人は少なくありません。体の疲れには気づいて休むのに、心の疲れには気づかないまま進んでしまう。あるいは、疲れていることを認めないまま、強くあろうとしてしまう。
だから、普段から自分の内側に目を向けておくことが大切なのだと思います。深刻な悩みが大きくなってからではなく、まだ小さな雲のようなものが見えているうちに、自分は何を感じているのかを確かめる。そうすると、自分が抱えているものや、これから目指したいものにも気づきやすくなります。
疲れたら休む。悲しかったら話す。一人で抱え込まず、信頼できる人に相談する。そして、自分の人生について決めることは、自分の手に戻していく。
人生を楽にする方法は、何もかも悩まなくなることではないのかもしれません。悩みがあっても、それだけが自分の世界のすべてにならないようにすること。必要なときには人の力を借りながら、もう一度、自分の内側と外側を見渡せる場所に戻ってくること。
今回の対談を振り返りながら、そんなことを改めて感じました。
強くなくてもいい。一人で全部を背負わなくてもいい。自分の好きなことや、自分にとって心地よい世界を大切にしながら、少し肩の力を抜いて歩いていく。
そのために、自分の気持ちを見つめ、必要なときには誰かと話す。そんな選択があってもいいのだと思います。












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