「こうなったらいいな」を、もう一度見つめる
人生が順調に、思い通りに進んでいる。そう感じられているなら、それはそれでいいと思います。
けれど、願っていることがなかなかかなわない。こうなったらいいと思っているのに、現実はそこから遠いまま。そんなふうに感じることも、きっとあるのではないでしょうか。
僕自身、願望を実現していくうえで大切なことは、願いを願いのままにしておかないことだと思っています。
「こうなったらいいな」と思っている状態は、まだ自分の外側にあるものです。いつかそうなればいい。そういう気持ちで眺めている限り、自分はまだそこにいないという前提も、同時に持ち続けることになります。
そこで、願望を「設定」に変えてみる。
設定というのは、もうそういう状態であるということです。未来にそうなりたい自分を見るのではなく、今の自分を、すでにその状態にある自分として扱ってみる。僕にとっては、それが願望実現の大きな土台になっています。
願望と設定の違い
たとえば、「年収1000万円になったらいいな」という願望があるとします。
この言葉の中には、まだ年収1000万円ではない自分がいます。いつかそうなれたらいいという距離感があり、現在の自分と目標の自分を分けて見ています。
それを、「自分は年収1000万円の人間だ」という設定にしてみる。
もちろん、設定した瞬間に現実の数字が変わるわけではありません。けれど、自分がその状態にあるとしたら、どんな立ち振る舞いをするだろう。どんな言葉を使うだろう。どんな服を着て、何を考えるだろう。
そんなふうに、できるところから自分をその状態に寄せていきます。一種のなりきりでもいいし、劇のようなものでもいい。すでにそうなっている人として、生活の一部を眺め直してみるのです。
年収1000万円の自分だったら、何をするだろう。何を考えるだろう。
その問いを持ちながら過ごしていると、自分が設定したものが、少しずつ周りに映し出されてくることがあります。大きな変化ではなくても、些細な変化に気づけるようになる。その気づきが、願望実現のひとつの骨になるのだと思います。
設定すると、違和感も浮かび上がる
ただ、願望を設定に変えたからといって、ずっと気分よくいられるとは限りません。
「自分は年収1000万円だ」と設定して過ごしていると、途中で「何をやっているんだろう」「そんなふうになるわけがない」「一か月やっても何も変わらないじゃないか」と感じることがあります。
イライラしたり、落ち込んだり、もうやめてしまおうと思ったりする。そういう感情が出てくることもあるでしょう。
でも、その反応は、設定が間違っているということではなく、自分の中にある違和感が浮かび上がってきたということなのかもしれません。
本当は、自分はそんなにもらえるはずがない。自分には無理だ。そういうイメージが、自分の中に残っている。その見えにくかったものが、願望を設定にしたことで表に出てくることがあります。
だから、そこで自分を責めたり、無理に前向きになろうとしたりしなくていい。出てきたもやもやを、「出てきたもの」として見ていく。そして、もう今の自分にはいらないものとして、少しずつ手放していく。
僕はこの作業を、リリースと呼んでいます。
リリースは、違和感を無理やり消すことではありません。「こんなことを考えてはいけない」と押さえ込むことでもない。落ち込んだり、疑ったりしている自分に気づきながら、その感情や思い込みを、そっと手放していくことです。
「こんなことをやっても無駄だ」と、出てきた違和感をさらに否定してしまうと、かえってその感覚にとどまり続けることがあります。だからこそ、出てきたこと自体を、ひとつの気づきとして扱う。そうすると、少しずつ自分のイメージも変わっていきます。
大きすぎる願望ではなく、近いところから
最初から、自分にとってあまりにもかけ離れたものを設定しなくてもいいと思います。
僕の場合、以前よく話していたのは、欲しい車についてでした。とても欲しい車があっても、価格が高い。普通に考えれば、頭金はどうするのか、ローンを組まなければならないのではないか、自分には買えないのではないか。そんな考えが出てきます。
そこで、「その車がある」「自分がその車を買う」という設定にしてみました。
カタログを集めたり、実際にディーラーへ出かけたり、車を見に行ったり、写真を撮ったり、乗ってみたり、触ってみたりする。そうしていると、最初は夢の車だったものが、少しずつ現実のものとして感じられてきます。
部屋に写真を飾り、それを眺めながら、「この車はいいな」「この色がいいな」「これに乗っていると気持ちよさそうだな」と思う。余計なことを考えて、すぐに気分を下げるのではなく、持っているような感覚で触れてみる。
すると、自分がその車に乗ることへの違和感が、少しずつ薄くなっていきました。自分がその車に乗るのにふさわしいという感覚も、自然になっていった。
その後、思いがけないところから情報が入ってきました。とても安く手に入る方法を教えてもらい、結果的に、自分が予想していたルートとは違う形で、その車に乗れるようになったのです。
最初から、こういう計画で、何か月で達成するという道筋を立てていたわけではありません。自分の中で「もうある」という状態をつくり、そこから出てくる違和感を手放していった。その過程で、予想していなかった道が見えてきました。
設定は、現実を無視することではない
願望を設定にするという話は、現実を無視して、ただ思い込めばいいということではありません。
今の状況を否定する必要もないし、すぐに結果が出ると約束するものでもない。設定している間に、不安や疑いが出てくることもあります。むしろ、そうしたものが出てきたときに、自分の中の前提に気づけることが大切なのだと思います。
「自分には無理だ」と感じる自分がいる。「そんな状態になるわけがない」と思う自分がいる。
そのことに気づいたら、そこからリリースしていく。そしてまた、すでにそうなっている自分に戻ってみる。
そうしていると、インターネットで情報を見つけたり、人から話を聞いたり、テレビを見ていて気づいたり、思いがけないところから必要な情報が入ってくることがあります。車のときのように、ディーラーの人が情報を持っていることもあるし、欲しい車を何度も目にすることもある。
そうした出来事を、僕は自分が発しているものに近いものが返ってきている状態として捉えています。
願望を、設定として遊んでみる
願望は、遠くに置いて眺め続けるものではなく、設定として今の自分に取り入れてみることができます。
いきなり完全に「もうなっている」と感じられなくてもいい。「なっているに近い」くらいから始めてもいい。自分にとって身近な願望をひとつ選び、その状態の自分なら何をするかを考えてみる。
大切なのは、深刻になりすぎないことです。これは実験でもあり、遊びでもある。設定した自分として少し行動してみて、どんな違和感が出てくるのか、周りにどんな変化が見えてくるのかを観察してみる。
願望を願望のままにしておくのではなく、「もうそうである」というところから始めてみる。
そこから出てくる違和感を手放しながら、自分の理想に近いエネルギーを出していく。そうやって、自分の人生を少しずつ、自分でつくっていく。
思い通りにならない現実を無理に変えようとするのではなく、まず自分の中の設定を変えてみる。そこからどんな変化が始まるのかを、実験するように楽しんでみたいと思います。











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