願望実現のために、僕たちは何を見ているのか
「こうなりたい」「これを手に入れたい」と思うことは、人生を前に進める力になる。
今回、ライフコーチ仲間の三浦ひろみさんと話したのは、願望実現についてでした。人生の中で手に入れたいものや、なりたい姿があるからこそ、人は未来に向かって進んでいける。ひろみさんは、精神的なものだけでなく、物質的な目標も含めて、願望を持つことの大切さを話していました。
僕自身も、欲しいものを手に入れることには、確かな喜びがあると思っています。
一方で、何かを手に入れたあとに、「あれ、思っていた感じと違う」と気づくこともある。その違いは、願望が間違っていたということではなく、自分が本当に求めていたものが、願っていた対象そのものとは少し違っていたということなのかもしれません。
アプローチ1:まず、欲しいものを手に入れてみる
ひろみさんは、子どもの頃の自転車の話をしてくれました。家庭が厳しく、自転車を買ってもらえなかったこと。学校の裏にいた友達の姿を見ていたこと。そして、その記憶が大人になってからも残り、乗り物への思いにつながっていたこと。
幼い頃に手に入れられなかったものは、大人になってからの願望になることがあります。
僕にも、車を手に入れた経験があります。車を買ったときには、「これに乗っている自分」という実感があり、気持ちが高まった。でも、実際に乗ってみると、ただ喜びが続くわけではありませんでした。手に入れた瞬間はうれしくても、しばらくすると、どこか違う感覚が出てくることがある。
それは、物質的なものに価値がないという話ではありません。実際に欲しかったものを手に入れることでしか受け取れない喜びもある。自分自身に何かを与えること、これまでの自分に「よくやった」と伝えるようなことが、物を手に入れる行為の中に含まれている場合もあります。
だから、欲しいものを手に入れることは、願望実現の一つのアプローチです。
ただ、その物に何を求めているのかを見ないまま、次のものへ向かい続けると、手に入れても満たされないことがあります。車を手に入れたあと、さらに別の車が欲しくなる。買い替えても、また何かが足りないように感じる。
そのとき必要なのは、次の対象を探すことではなく、「自分は何を感じたくて、それを欲しがっているのだろう」と立ち止まることなのかもしれません。
アプローチ2:欲しいものの奥にある気持ちを見る
ひろみさんが話していたもう一つのアプローチは、心のほうに向かっていくことでした。
僕たちは、自分が意識している願望については、比較的よく分かっています。「車が欲しい」「家が欲しい」「こういう生活をしたい」と言葉にできるものです。
でも、その願望の根っこにあるものは、いつも見えているとは限りません。
それは、認められたいという気持ちかもしれない。誰かに見せたいという思いかもしれない。安心したい、自分の価値を確かめたい、これまでの不足を埋めたいという感覚かもしれない。
ここで大切なのは、どれが正しいかを決めることではありません。物を欲しがることを否定する必要もない。むしろ、「なぜ自分はそれを欲しいと思うのか」を見ていくことで、願望の形が変わることがあります。
物を手に入れたかったのではなく、その物を通して得られる気持ちを求めていた。あるいは、その物を持つことで、別の自分になれると思っていた。
願望の奥にあるものに気づけると、自分が本当に向かいたい方向が見えてくることがあります。
「物質」か「精神」かではなく、両方を見ていく
話していて印象に残ったのは、物を求めることと、心を見つめることを対立させていなかったことです。
精神面を大切にする人の中には、物質的なものを求めることに抵抗を感じる人もいるかもしれません。反対に、物を手に入れることが幸せにつながると信じて、次々に目標を達成しようとする人もいる。
でも、物質的な世界に生きている以上、自分を楽しませてくれるものが身の回りにあることも、日々の幸せに関係しています。欲しいものを欲しいと思うこと自体を、無理に否定しなくていい。
そのうえで、「これを手に入れたら、自分はどんな気持ちになりたいのか」と考えてみる。
願望を実現するためには、外側にある対象へ向かっていく方法もある。そして、内側にある気持ちを深めていく方法もある。どちらか一方だけではなく、両方の方向から自分を見ていくことができるのだと思います。
自分の言葉を、自分で聞く
ひろみさんは、ホリスティックライフコーチングの特徴として、コーチがその人の言っていることや感じていることを映し出すことを話していました。アドバイスを一方的に与えるのではなく、相手が話したことを返し、本人が自分の言葉を客観的に聞けるようにする。
自分で口にした言葉を、改めて誰かから返されると、「自分はそんなふうに思っていたんだ」と気づくことがあります。あるいは、「今の言い方は少し違う」と、自分の中で修正が起きることもある。
人から与えられた答えではなく、自分が話したことから気づいていく。そこには、自分の感覚を自分のものとして受け取る力があります。
ひろみさんは、否定やジャッジをされずに、つらかったことや抱えていたことを話せる時間についても語っていました。何かを解決するためだけではなく、自分を安心してさらけ出せる場所があること。その時間そのものが、自分の内側を見つめるきっかけになる。
願望実現という言葉からは、目標達成や成功のイメージを持ちやすい。でも、願望の奥にある自分の気持ちに気づくことも、願いに近づいていく大切な一歩なのだと思います。
手に入れたあとに、問い直してみる
僕は、欲しいものを手に入れたあとに感じた違和感から、自分が本当に必要としているものを考えたことがあります。
そのとき、願いがかなわなかったのではなく、願いの奥にあるものをまだ分かっていなかったのだと気づきました。
だから今、何かを欲しいと思ったときには、すぐに正解を出そうとせず、こんなふうに問いかけてみたいと思っています。
「それを手に入れることで、どんな自分になりたいのか」「どんな気持ちを味わいたいのか」「本当に欲しいのは、その対象そのものなのか」
もちろん、答えがすぐに見つかるとは限りません。先に手に入れてみてから気づくこともあるし、考えたり話したりする中で、少しずつ見えてくることもある。
願望は、ただ達成するためだけにあるのではない。自分が何を大切にしているのかを知るための入り口にもなる。
欲しいものへ向かう自分と、心の奥を見つめる自分。その二つを行き来しながら、自分の願いを確かめていく。今回の対話を通して、僕はそんな願望実現のあり方を考えました。











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